【みんなの疑問】PTA問題をやさしく解説
みなさん、こんにちは。管理人のジオです!
来週...PTAか~。有給申請...出さなきゃな...。
そもそもPTAってなに?......
......やらなきゃなと思いつつも..
ちょっと面倒くさいPTA
今回はちょっとディープに語っていきます。
この記事は
『PTAって何?』という疑問に答える記事です。
投稿者の3年間の役員経験を基にいろいろな情報をまとめました。よくわからないPTAについて、みなさんのヒントになれば幸いです。
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目次
PTAとは?
Parent(親) Teacher(教職員) Association(協力団体)の略称で、保護者と教職員が児童・生徒のために活動する会をいいます。
全国組織の日本PTA全国協議会に加盟し、下部組織の各地域PTA協議会に参加する場合がほとんどです。
ただし近年、各地域PTA協議会や日本PTA全国協議会から脱退するPTAも出てきています。
各幼稚園・小・中・高 学校にある各PTAを単会と呼びます。
『PTA問題』とは?
子どものために活動しているPTAですが、いくつかの問題を抱えています。
よく取り上げられる問題を確認してみましょう↓
✔PTA問題
- 子どもの進学にあわせて自動的に加入させられる
⇒参加の意思を確認してもらえない - 活動の強制
⇒在学中に1度は委員になって活動する - 活動時間の問題
⇒学校開門時(例:朝8時~夕方5時)だけ活動できる - 活動が多い・非効率
⇒ちょっとした連絡や話し合いでも学校に集合する - 会計
⇒任期が1年程度のため、適正化が難しい。
など
詳しく、見ていきます。
子どもの進学にあわせて自動的に加入させられる?!
①入会届があるPTA と ②入会届がないPTA がある
現在、『PTAは任意団体』だと多くの保護者が知っていると思います。このことは、2014年の熊本PTA裁判をきっかけに広く知られるようになりました。
この裁判から入会届の配備を進めるPTAも増え、今では各PTA協議会や地方自治体から入会届(入会意思の確認)を取るよう単会PTAに指導が入るようにもなりました。一方で、この熊本PTA裁判の判決では入会の意思確認には必ずしも書面を必要としないことも確認されていたので、入会届を配備しないPTAも未だに多くあります。
現状
- 入会届があるPTA
- 入会届がないPTA
の両方がありますが、どちらかが間違っているということではありません。
重要なポイントは『入会意思があるかどうか』ということです。
入会の意思があるとは?
PTA不要論やブラックPTAという言葉がネット上にあふれてから『入会届がないPTAは違法』といった見出しを見るようになりましたが、これは極端な表現です。
- PTA会費集金袋を使って会費を納付した
- PTA活動に委員として参加した
こうした実態がある場合は、PTAに加入していたと判断される場合があります。
実際に、熊本PTA裁判でもPTA集金袋を使って会費を納付していたことを理由に『黙示の意思表示』により、PTA加入が成立していたと判断されました。
『辞めたい』と思った時にPTAをやめることはできますが、遡及的に(さかのぼって)加入していないことを証明することは難しくなります。どちらにせよ、PTAに加入したくない場合は早めに意思表明をしましょう。
PTAの入会問題
個人:PTAに加入したくない方は意思表明を
お子さんの通う学校のPTAに入会届がない場合は『入会しないこと』をPTA運営に伝えてください。意思表明をすることで入会意思がないことを証明できます。必要な場合は書面を残すのもおすすめです。
PTA入会届が整っているPTAであれば、入会届を出さければ大丈夫です。途中で退会したい場合は、退会届を提出しましょう。
運営側:法令遵守(コンプライアンス)と会則改正
熊本PTA裁判でもあるように、PTAは社会教育団体であり任意団体です。ですが会則に入会条件を明記していない場合や自動加入が記されている場合もあります。また退会について明示されていない場合もあります。まずは会則を確認して必要に応じて整えてみてください。
活動の強制
子どもの在学中に1度は委員になって活動するというPTAは未だに多くあります。その他にも卒業までに〇ポイント貯めるというポイント制度のPTAもあります。
こうした活動の依頼は、「できる限りお願いする」という体裁をとっていますが、断りにくい状況にある会も多いようです。
断りにくい状況…。難しいですね。
活動の強制問題
無理なものは断る
個人:参加できない活動は断って大丈夫です。
参加できるものにはぜひ参加してみてください。授業参観とは違う普段のお子さんをみることができます。
運営側:外部との協働活動など、労力や時間の都合がつかない場合は断ってみましょう。特に地域活動は自治会などと話し合って、参加できないものは断り、負担の軽減をお願いしてみてください。時間はかかるかもしれませんが活動量を大幅に削減できます。
運営側:活動に参加できない理由を聞きたくても…。
活動に必要な人数が集まらない時や、自分自身の役割が大きい時。つい参加できない理由を聞きたくなりますがグッと我慢です。できない理由は、多くの場合『要配慮個人情報』といって取扱に細心の注意がいる情報だからです。こうした理由を多くの人の前で言わせることも避けましょう。情報を管理する手間や訴訟問題の方がよほど労力を消耗します。必要のない情報は集めないのも活動削減のポイントです。
活動時間の問題
学校の開門時間とPTAの活動時間
現在、文科省は『学校の働き方改革』として教職員の残業を減らすように働きかけています。この働きかけによって、多くのPTAが学校の開門時間のみ活動するようになったのではないでしょうか?
NHK|国の残業の上限超える教員 中学校77.1% 小学校64.5% 現場は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230428/k10014052081000.html
けれども、労働世帯の約8割が共働き世帯といわれる現在。開門時間に集まれる保護者は確実に少なくなってきています。中には、貴重な有給や振替休日を消化してまで参加される方もいます…。この状態をどうにかするために、まずは学校へ参集しなくても活動できるように、やり方や考え方をシフトしてみてください。
対策例
お手紙からメール配信へ
日中に参加できる人が減ってきている現在。メール配信システムを導入するPTAが増えてきました。印刷作業も減らすことができます。
名古屋市吹上小学校PTAで導入されたことで人気になったMa!Mailや阪神電鉄が提供をしているミマモルメ、レンタルサーバーの老舗さくらインターネットが運営するさくらのメールボックスなど色々なメールサービスが利用されています。
外注を利用する
全国シルバー人材センター事業協会やファミリーサポートセンターなどを利用して、旗振りや警備の外注をはじめている学校やPTAもあります。自治会や育成会などの外部団体と協力して行っているPTAもあります。
対面会議からオンライン会議
お勤めが終わった夕方から夜間に、ZoomやGoogleミート、LINE、などを使ったオンライン会議をしているPTAもあります。対面でしかできない会議もありますが、ちょっとした確認などの場合は、オンライン会議がおすすめです。
活動が多い・非効率
一言にPTA活動といっても
- 早朝の旗振り
- 交通安全指導
- 資源回収
- 美化活動
- ベルマーク
- PTA主催のお祭り
- 運動会のお手伝い
- 地域行事のお手伝い
- PTA協議会の仕事
- 周年行事
など
活動内容は多岐にわたります。活動が多いことを理由に自由参加に踏み切れないPTAも多くあります。
改善策
『PTA活動の見直し』で活動量を減らそう
必要のない活動を廃止したり活動量削減を検討します。
ただし保護者だけでは限られた活動しか見直すことができません。一度、すべての活動を書き出して学校と確認してみてください。
長年の活動に伴い『学校から期待されている・頼まれている』と思っていた活動があるはずです。
学校と協議してみたら思っていたよりも期待されていなかった活動がきっとあるはずです。そうなれば絶好の削減のチャンスです。またPTA主催の活動であれば決定権がPTAにあるので活動内容を見直しやすい場合があります。
- 学校が本当に望んでいる活動は何か
- 望んでいない活動は何か
- 活動の主催はPTAなのか・学校なのか
- お手伝いでいいのか・主体的に活動してほしいのか
などを確認してみてください。
活動目的を確認しよう
毎年やってきているから今年も…
そんな活動があったら見直しのチャンスです。『誰のために、なんのために、いつ必要な活動なのか』(目的)がわかるだけで、活動量を削減できます。目的がわからなくなっている活動には、①新たに明確な目的を持たせるか ②活動を削減 してみてください。
*全国組織や各地域のPTA協議会に参加することで、単会の活動+協議会の活動が増えます。こうした活動は主に会長・副会長が負担するため、会長候補が見つからない単会が多くあります。
会計問題
横領事件が後を絶たない
年 | 月 | 事由 | 被害額 |
2018 | 6 | 熊本県立高校 元後援会役員による横領 | 110万円 |
2019 | 6 | 埼玉県公立小学校 元PTA会長による使い込み(のちに返済) | 約300万円 |
2020 | 3 | 千葉県立高校 主事によるPTA会費の横領 | 22万円 |
6 | 姫路市中学校 事務職員によるPTA会費の横領 | 143万円 | |
11 | 和歌山市立幼稚園 教頭によるPTA会費等の横領 | 9万円 | |
2021 | 3 | 愛知県立高校 事務員によるPTA会費・生徒会費の横領 | 518万円 |
埼玉県立高校 主事によるPTA会費等の横領 | 336万円 | ||
6 | 山梨県立高校 PTA職員によるPTA会費横領 | 527万円 | |
7 | 広島市公立小中学校 PTA役員による横領 | 1050万円 | |
2023 | 11 | 甲府市公立高校 元PTA職員による横領 | 559万円 |
ざっくり調べてみただけでも、これだけの数の横領事件が発生しています。会計の不透明さや多額の繰越金、密室状態を利用したPTA会費の横領が後を絶ちません。
でも適正化が難しい
会計事故・横領事件を防ぐために『会計の適正化したい』と思っている担当者も多いと思います。しかし、短い任期のなかで会計の適正化を行うことは難しいことです。PTA会費の性質もあまり知られていないので、どこから手を付けてよいのかわからないこともあると思います。
みなさんの参考になりそうな自治体や各地域PTA協議会が公開しているマニュアルを集めました。
参考資料
✅『PTA会費とは何か?』の参考に↓
✅各地域PTA協議会が公開している適正化マニュアル
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小さいけどモヤモヤする
ここまでは顕在的なPTAの問題点を考えてきましたが、ここからは潜在的な問題「よくわからないけどモヤモヤする」PTAの問題を取り上げてみたいと思います
良いことだからこそ負担
なんだかんだ言っても、PTA活動そのものは「善い事」ばかり
- 『無下に断るのも気が引けるな』
- 『ご近所付き合いもあるしな。』
そんな気持ちで、理不尽だと思っていても、『少し我慢すればいいか…』と、PTA活動に参加してくださる方も多くいます。
モヤモヤ解消法
お互い様
できない時があってもお互い様。みんな仕事をして子育てしながらのPTAなので「お互い様」の精神が持てると楽になります。
できない人がいても、『だったら(活動を)やめようか』『今回は私が変わろうか』など許せる雰囲気作りができるといいですね。頼みやすい雰囲気や断りやすい雰囲気作りもしてみてください。一方的に押しつける雰囲気がなくなるだけでも違います。
保護者の気持ちはバラバラ
保護者の中には
- 参加したくない
- 参加したくないけど、諦めて参加する
- 子供のためだから参加する
など、色々な思いを持った保護者がいらっしゃいます。
モヤモヤ解消法
話してみる
色々な考えの人がいることを前提に、活動の時に話してみてください。「そういう考えもあるよな」「なるほどな」そんな風に思えると少し楽になります。
断れるかは性格がネック?
人付き合いが苦手な方もいらっしゃると思います。対人恐怖症やパニック、躁鬱など人に知られたくない病気を患っている方もいます。そうした人に知られたくないことを、他の会員から問い詰められる場面に遭遇したことがあります。正直、いい気分ではありません。
小学校であれば6年間、幼稚園・中・高であれば3年間。PTAのために気まずい思いをする必要はありません。PTAの優先順位は低くていいのです。隣人関係をぜひ優先してください。
モヤモヤ解消法
やらなきゃいけない仕事はない
PTAにやってほしい仕事はあっても「やらなきゃいけない仕事」は左程ありません。学校運営が自立している学校ほど、PTAがやらなきゃいけない仕事はありません。学校の負担になることを要求することは避けたいですが、『やらなきゃ!』と無理をする必要もありません。立て続けに起こるPTA横領事件をきっかけに学校運営の自立を目指す自治体もでてきました。
おまけ
登下校問題
任意団体でありながらPTAが担うもの
PTAとして『やらなきゃいけない仕事はない。』と前項でお伝えしましたが…。ちょっと矛盾する内容になります。
そして、ちょっと難しい話です…多くのPTAが抱える『登下校』の問題です。
以下、通学班などに関する法律です。
学校安全保健法
(学校安全計画の策定等)
第二十七条 学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、当該学校の施設及び設備の安全点検、児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員の研修その他学校における安全に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならない。
(地域の関係機関等との連携)
第三十条 学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、児童生徒等の保護者との連携を図るとともに、当該学校が所在する地域の実情に応じて、当該地域を管轄する警察署その他の関係機関、地域の安全を確保するための活動を行う団体その他の関係団体、当該地域の住民その他の関係者との連携を図るよう努めるものとする。
⇩
この法律が示している
学校の役割は
- 安全点検を計画・実施する
→通学路の点検など 3月・4月に警察と合同で行う学校が多い - 安全に関する事項を計画実施する
→通学路の設定など - 児童生徒に安全に関する指導をする
→自転車講習などの計画・実施など - 保護者と連携する
→保護者との連携・PTAとの連携 - 警察署とその他関係機関と連携する
→警察と交通安全協会と連携 - 地域の安全を確保するために活動を行う団体とその他関係団体と連携する
→こども会・育成会・青年会・自治会などと連携 - 当該地域住民とその他関係者と連携する
となっています。ご覧の通り学校の役割に登校班の見守りは含まれていません。そのことが明確にわかる資料をさらに二つご紹介します。
表の左側,1,登下校に関する対応から,4,地域ボランティアとの連絡調整,これは本来,学校以外が担うべきであるということを,今回,明確に打ち出していただきました。その担うべき主体としては,内容に応じて,自治体や教育委員会,保護者,地域ボランティア等であるということを示していただいております。
文部科学省|中央教育審議会(第114回)平成29年12月22日(金)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/1406868.htm
地域ぐるみの見守り活動と効果
● 登下校時の見守り活動は、学校を中心に、保護者やPTA、地域住民、行政、警察、民間企業、地域団体等が一致団結して連携・協働し、地域全体で取り組むことが重要です。
文部科学省|やってみよう!登下校見守り活動ハンドブック 2P
https://www.mext.go.jp/content/20210405-mxt_kyousei02-mext_01335_01.pdf
『やってみよう!登下校見守り活動ハンドブック』2P の図中、学校の役割に見守り活動という文字はありません。
保護者との連携とは?
上記の資料からもわかるとおり、登校班の管理や旗振りの管理も学校の役割ではないということになります。
そうなると保護者(個人)が見守り活動をすることは難しいということがお分かりいただけるでしょうか。
いつ・どこで・だれが見守るのかを管理する人が必要になります。現状、PTAが登下校の見守り活動を管理することが多いのは、そうした理由からです。
登校中の責任って?
PTAがない学校では登校班がないところもあります。登校班がないと『登校中の安全確保は誰の責任か?』と少し気になりませんか?
学校が加入しているスポーツ振興保険などでは登下校中の傷害について保証してくれていますが、実は登校中の安全確保の責任は保護者にあります。これは登校班を使っている場合も同じです。児童生徒が学校に入るまでは親の責任下なのです。
「有志がやればいい」
私の見聞ですが、旗振り活動の負担をなくすために登下校班をやめた小学校PTAがありました。当初PTA本部の方針は「心配な保護者は付き添ってください。」ということでしたが、多くの保護者の要望から有志保護者が希望者のみ登校班編成をするようになりました。
この話を聞いて「有志がやればいい」と思った方もいると思います。しかし、このPTAも2年後には有志が見つからずに登校班は完全になくなりました。ある小学校教頭から「(登校班は)学校が管理すればいいじゃないか。無責任だ」というクレームを受けたという話も聞きました。
登校中の安全確保や見守りの責任は保護者にあるにも関わらず、学校やPTAには毎年登校班に関するクレームが集まっています。
任意団体だけど
保護者1人1人ができることは限られています。PTAは任意団体ではありますが、保護者が協力して児童を見守ることで一家庭が担うべき労力や役割を軽減することもできます。この問題は、PTAである必要はありませんが登校中の安全確保や見守りの責任は保護者にあることを考えると保護者が中心となった組織が必要なようにも感じます。
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まとめ
約3年間の経験を活かして記事を書きたいと思ってきました。ようやく形にすることができて嬉しいです。
PTA改革もしてきましたが、ルールを変えるよりも「気持ち」の在り方や「雰囲気」の作り方のほうが重要だなと感じました。
できることを できるときに楽しくやる そんな目標で活動していましたが、『やらなきゃいけない』という焦燥感で浪費していた時期も長かったです。
特に、先生に頼まれたり意見されると『学校がいっているから正しいのかな。』と思って焦ることもありました。でも話し合ってみれば、学校と保護者、双方で思い違いをしていることが多かったです。話すってとても大事です。現在のPTA・学校にある問題の根源は慢性的な「コミュニケーション不全」なようにも思います。今回の記事はPTAのネガティブな側面を多く取り上げましたが、次回はPTAの良いところも紹介できればいいなと思います。
また次の記事でお会いしましょう!ありがとうございました。
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